愛媛大学社会問題研究会

愛大社研。現代社会の諸問題について自主的に学び合うサークルです。普段は読書会や茶話会を実施。ブログでは活動の告知や報告などを行います。詳しくはhttps://exnihilo1984.wixsite.com/eu-syaken2017

三島由紀夫「文化防衛論」

 守るとは何か? 文化が文化を守ることはできず、言論で言論を守ろうという企図は必ず失敗するか、単に目こぼしをしてもらうかにすぎない。「守る」とはつねに剣の原理である。

 守るという行為には、かくて必ず危険がつきまとい、自己を守るのにすら自己放棄が必須になる。平和を守るにはつねに暴力の用意が必要であり、守る対象と守る行為との間には、永遠のパラドックスが存在するのである。文化主義はこのパラドックスを回避して、自らの目をおおう者だといえよう。

 すなわち、文化主義は、守られる対象に重点を置いて、守られる対象の特性に従って、守る行為を規定しようとし、そこに合法性の根拠を求める。平和を守るにはこれを平和的に守り、文化を守るにはこれを文化的に守り、言論を守るには言論を以て守るほかはないとするところに、合法性を見出すのであるから、暴力を以て守るものは暴力に他ならないことになり、暴力の効用を観念的に限定し、ついには暴力の無効性を主張することになるのは論理的必然である。